東京地方裁判所 昭和42年(ワ)251号 判決
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〔判決理由〕本件土地建物につき、原告が被告両名の依頼により不動産仲介業者として通常なすべき売買成立に至るまでの一連の行為中、物件の紹介、権利関係の瑕疵の調査、および売買の条件の交渉をなしたが、結局、売買価格が合致せず、売買契約が成立するに至らず、被告両名間の本件土地建物の売買契約は原告以外の他の仲介業者の仲介により成立したものであることは、前示認定のとおりであるから、結局において、被告らの原告に対する本件不動産売買の仲介委任は、中途において被告らの解除により終了したものといえよう。しかし、不動産仲介業者は、仲介が成功した場合、すなわち取引が成立した場合にのみ報酬請求権を取得するものであり、たとえ依頼者が中途で仲介の委任を解除した場合であつても依頼者は何時でも委任を解除できるのであるからそれが信義に反する等特段の事情がないかぎり、受任事務履行の割合に応ずる報酬を請求しえないものと解すべきである。けだし一人の依頼者が同時に数人の仲介業者に不動産の売却、もしくは買受を依頼することは、世上一般に行なわれているところであり(本件はまさにその典型である。)このような場合仲介の労をとつたすべての仲介業者にその割合に応ずる報酬請求権を認めることは、依頼者にとつて苛酷に過ぎ公平を失するからである。本件において右特段の事情は認められないから原告の予備的請求も、その余の点につき判断するまでもなく理由がない。(渡辺忠之)